Calling 第41話 クエストと報酬 その2 -3-
「受験番号がわかりません」
「……え?」
鈴が言った言葉に拍子抜けした。
かなり。
「先輩の受験番号、何番ですか?」
そういえば、まだ何番か言っていなかった気がする。
「あー、えーと……2166番」
「了解しましたっ」
鈴はそう言うと、再びモニターに視線を移し「2166番、2166番……」と
小声でブツブツ言いながらびっしり並んだ数字の中から俺の受験番号を捜し始めた。
そして数十秒後――、
「あっ」
「っ!?」
鈴の声に反応して思わずビクリとした。
「先輩、ありましたっ」
「えっ」
「2166番ですよね? ほら、ここ。私の目が節穴じゃなければ間違いなく2166番ですっ」
そう言ってモニターを指す鈴。
俺はその指先にある数字を恐る恐る顔を上げて確かめた。
(あ……)
「……あった」
俺の受験番号・2166番があった。
(受かった……っ)
合格だ。
「先輩っ、おめでとうございますっ」
「ありがとうっ、鈴のおかげだよ」
「先輩が一生懸命頑張ったからですよ」
「そりゃ、俺だって頑張ったけど鈴だっていっぱい応援してくれたし、
それにお守りがなかったらきっと俺、頑張れなかった」
というより、きっと手を抜いていた。
合格したのは嬉しい。
第一志望の大学だったし、鈴もすごく喜んでくれているし。
でも、これで俺が卒業したら鈴と中距離恋愛になる事が確定した。
嬉しいやら、哀しいやら。
ちょっと複雑だ……。
◆ ◆ ◆
−−−−−
U大学、合格したよ!
(´∀`)v
Daichi
−−−−−
その日の放課後、美夏さんにメールした。
−−−−−
本当?
おめでとうっ!
Mika♪
−−−−−
−−−−−
やれば出来る子だから♪
( ̄ー ̄)v
Daichi
−−−−−
−−−−−
ふふふ、これで時給が
上がる。
( ̄ー ̄)にやり
Mika♪
−−−−−
(……え?)
−−−−−
実は教え子の合格率で
時給が上がるから、
大地君なら全然余裕で
受かると思ってたんだけど、
念の為危ないって
言ったんだよねー。
てへっ♪
(*´Д`*)
Mika♪
−−−−−
美夏さんのレスに思わず唖然とした。
−−−−−
・・・(´д`)
Daichi
−−−−−
−−−−−
まぁ、無事に合格
出来たんだし、
よかった、よかった♪
(´∀`)
Mika♪
−−−−−
そりゃ、まぁ、そうだけど……
−−−−−
じゃあ、約束通り
ご褒美あげる。
(^-^)
Mika♪
−−−−−
そして、美夏さんから返って来たメールには添付画像が三枚。
(鈴の超レア画像……)
俺はドキドキしながらメールに貼り付けられたURLをクリックした。
(ふおぉっ!?)
その三枚の画像はどれも俺が見たことない鈴だった。
−−−−−
今年のお正月、
剛史の家に鈴ちゃんの
家族が年始の挨拶に
来た時のなんだってー。
せっかく可愛い格好
してるから大地君に
見せようって言って、
剛史が写メ撮ったみたい。
Mika♪
−−−−−
三枚の超レア画像はどれも振袖姿の鈴だった。
薄いピンクと黒の暈し染めの桜模様で、それが鈴の可愛らしいイメージと
またぴったりだった。
一枚目の画像は剛史さんの家の前、二枚目は剛史さんの家族と
鈴の家族で一緒に初詣に行ったと思われるどこかの神社。
さらに三枚目はアップにした髪にうっすらとメイクした鈴の笑顔だった。
今回の報酬は確かに超レア画像だった。