Calling 第14話 すれ違う想い -1-

 

 

――数日後。

 

「こらぁーっ! イズミーッ!」

その日の部活。

女子のテニスコートに向かって蹴り込んだサッカーボールを取りにいくと、

織田ちゃんの声がコートに響き、サッカーボールを小脇に挟んで仁王立ちしていた。

 

「悪ぃ、悪ぃ」

(あっちゃー……今日は織田ちゃんが拾ったかー)

ボールはいつもだいたい小峯が拾ってくれていた。

たまに他の部員が拾う事もあるけれど、小峯が拾う率は高かったんだけどなー。

 

「ちょっと、最近なんかボールが飛んでくる回数が増えてない?」

 

「え? そうかぁー?」

最初は月二くらいのペースで態とテニスコートに向けてボールを蹴り飛ばしていた。

それが最近、小峯の顔を見たさに週一にしたのがまずかったか。

 

「二年の時まではせいぜい三,四ヶ月に一度くらいだったと思うけど?」

「気のせい」

「三年になってボールが飛んでくる回数がやたら多くなったのはどうして?」

「さぁ? 俺、サッカー下手になったのかも?」

「もしかしてテニス部の一年の中に好きな子がいたりしてー?」

織田ちゃんはそう言うとにやりと笑った。

 

(ぐは……っ、見抜かれてる)

「たまたまだよ、たまたま」

 

「イズミってわりと古典的な手段を使う人だったんだねー?」

 

「だから、気のせいだってば。次からは気をつけるよ」

 

「まぁ……別にいいけど」

織田ちゃんはそう言うとサッカーボールを高く放り投げた。

それをリフティングで受け取る。

 

(ヤバイな。とりあえず月二に戻すか)

 

 

「大地、またやらかしたのか?」

グラウンドに戻るとシゲが苦笑いしていた。

 

「あぁ、織田ちゃんに怒られた」

 

「一年に取りに行かせればいいのに」

 

「まぁ、そうなんだけど……自分が蹴り込んだボールを取りに行かせて今みたいに

 怒られたりなんかしたら可哀想だしな」

(だいたい態と蹴ってんだし)

 

「確かに。俺等もそういうので散々怒られた事があったしな。

 けど、最近テニスコートによく飛ばすよな?」

 

「う……織田ちゃんにも同じ事言われたよ」

 

「織田ちゃん、鋭いからなー」

 

「何が?」

 

「女の勘は鋭いって話」

 

「?」

俺はシゲが言った言葉の意味がさっぱりわからなかった――。

 

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